英国下院総選挙に突入 再びEU離脱争点に
英国、EU離脱をめぐり下院総選挙はじまる
11月6日英国下院が解散し、12月12日の総選挙に向けて選挙戦がスタート。再びEU離脱をめぐり国民の意思を問うことになりました。
EU離脱が決まった2016年6月の国民投票から3年半。メイ前首相は、EUと合意した離脱協定案は下院により3回否決されEU離脱交渉の行き詰まりを理由に辞任。
後任のジョンソン首相が10月に新たにEUと合意した新離脱協定案も先送りになるなど、EU離脱をめぐり未だに結論が出ない状況です。
今回の下院総選挙で、ジョンソン首相率いる与党保守党は単独過半数を獲得し、新離脱協定案に基づいて、来年1月末までにEU離脱を実現したいとしています。
一方、労働党をはじめ野党は、EU再交渉や国民再投票、EU残留をそれぞれ主張するなど、新離脱協定案での離脱を阻止したい考えです。
EU離脱に向けて前進するか、こう着状態に逆戻りするか、注目されるところです。
英国政府が合意したEU離脱協定案とは?
EU離脱が未だに解決できない最大の理由は、離脱協定案に盛り込まれている英領北アイルランドの国境問題です。
宗教対立から激化した30年におよぶ北アイルランド紛争は、1998年にベルファスト和平合意により終結し、検問所が取り除かれ北アイルランドとアイルランド間の自由な往来が保証されることになりました。
ところが、英国のEU離脱後はEUルール下のアイルランドとの間に国境管理を復活せざるを得ないことから、紛争再燃のリスクという想定外の問題が浮上したのです。
新EU離脱協定案
メイ前首相がEUと合意した旧離脱協定案は、国境管理を復活させない代替策が見つかるまで、英国は事実上EUの関税同盟や一部単一市場にとどまるものでしたが、英国がEUルールに縛られたまま何も変わらないと下院で3回否決されました。
それに対して、ジョンソン首相が合意した新離脱協定案は、EU離脱後は英国は関税同盟から完全に離脱し、北アイルランドに関しては検問を置かず当面はEUの関税同盟や単一市場にとどまるものとしています。
野党は、北アイルランドをイギリス本土と異なる扱いをすることで連合国の一体性が失われ、アイルランドとの統合へ向かいかねないと批判し、新離脱協定案も採決が先送りされたままです。
今後の展開
最新の世論調査によると、保守党41~39%、労働党29~26%と、保守党が10%以上の差をつけてリードしてることから、保守党が単独過半数を獲得してEU離脱実現に向かうと予想されています。
ただ、大勝が見込まれていた2年前の総選挙も過半数割れという結果に終わったため、予断を許さない状況です。
3度目のEU離脱延長期限を迎える1月末まで結論がでなければ、合意なき離脱に向かう可能性もあることから、英国民の冷静な判断を期待したいところです。
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