総代理店とは何か?代理店、販売店との違いと英語契約書の場合
総代理店とは何か?
総代理店とは独占販売権を持つ代理店(販売店)のことです。
「輸入総代理店」や「日本総代理店」のように、輸入ブランド品を販売する場面で目にすることが多い言葉でしょう。
総代理店はメーカー(もしくは販売元)と独占販売契約を結び、メーカーは決めたエリア・商品では総代理店だけに販売します。
総代理店の役割
総代理店は担当するエリア(たとえば日本)における販売戦略、場合によってはブランド戦略の立案・実行もメーカーから任されています。
輸入車の正規総代理店などで見られるように、メーカーの代わりにアフターサービスを提供する場合もあります。
総代理店と代理店との違い
総代理店と似ている言葉との違いを見ながら、総代理店の意味を確認していきましょう。
まず総代理店と代理店との違いから。
違いは独占販売権があるかどうかです。
総代理店には独占販売権があるので、エリア内のほかの販売店がその商品を取り扱いたいときには、総代理店を通して買うことになります。
総代理店は通常、総代理店→卸売業者(問屋)→小売店→消費者のような販売網を作って販売します。
この総代理店以外の卸売業者(問屋)や小売店のことを代理店といいます。
総代理店と一次代理店との違い
代理店(販売店)には、メーカーから直接仕入れる一次代理店(一次店)や、一次店から仕入れる二次代理店(二次店)などがあります。
総代理店と一次代理店との違いも、独占販売契約を結んでいるかどうかです。
一次店であっても独占販売契約がなければ、総代理店ではなく普通の代理店(販売店)です。
たとえ日本で唯一の取扱店だとしても、独占販売契約を締結していなければ、総代理店とは言わないのです。
クラウドファンディングなどで証明書が必要なときには、契約書を見直してみましょう。
代理店と販売店との違い
代理店と販売店という用語も違いが分かりにくい言葉です。
実は物販の話をする場合、日本語ではほとんど同じ意味で使われています。総代理店、総販売店、独占販売店は同じ意味。
ところが元々の言葉の意味では、代理店とはメーカーなどの代理として契約をする会社です。
大リーグの野球選手の代理人、保険の代理店などのイメージ。
これに対して、販売店とはメーカーから商品を購入して販売する卸売業者や小売店です。
このため、契約書など言葉を厳密に使う必要があるときには、総代理店は総販売店、もしくは独占販売店と言い換えるのがベターです。
英語の契約書は注意!
英語では代理店(agent)と販売店(distributor)は別物です。
英語で契約書を作成する場合には、代理店の英語訳には注意が必要です。
総代理店を直訳すると”Sole Agent”。独占代理店は”Exclusive Agent”になります。
ところがこれは日本語の物販の総代理店とは違う意味なのです。
総代理店、総販売店、独占販売店にあたる英語は、”Exclusive Distributor”もしくは”Sole Distributor”の用語がよく使われます。
両方とも直訳では独占販売店という意味です。
アメリカなどでの代理店
アメリカなどではセールス・レップ(sales representativeの略)という代理人がメーカーの販売活動を担っています。
このセールス・レップは日本の卸売業者とは違い、商品の売買はしません。売れた分の手数料を成功報酬として受け取り、メーカーの代理としてメーカーと顧客の間の売買を仲介します。
販売店との違いは、商品を自分の財産にして売買するかどうかです。
英文契約書で間違って”Sole Agent”と書くと、商品の売買をしない契約になってしまうので、注意が必要です。
総代理店契約は独禁法違反にならない?
総代理店契約とは独占販売契約のこと。
独占販売というと独占禁止法(独禁法)に抵触しないか心配になります。大丈夫でしょうか?
答えは、問題ありません。
小売店と小売店の間や、似たようなほかの商品との間に競争があるからです。
独禁法では主に価格維持のために競争を妨げるような行為を禁止しています。
販売価格を指示したり、価格吊り上げのために総代理店が販売を拒絶したりすると法律違反になります。
並行輸入との関係は?
輸入品の総代理店契約で悩ましいのは並行輸入です。
総代理店が輸入するのが正規輸入品。商品の宣伝などの投資をして販売しています。
これに対して並行輸入品は同じブランドの商品を別の会社が輸入したものです。
それなら並行輸入はメーカーの契約違反?と思った人もいるかもしれません。
ところがメーカーが独占販売契約を守っていても、別の地域で販売店から商品を買えば並行輸入は可能なのです。
メーカーは販売店に販売エリアを指導することはできますが、エリア外への販売を禁止することは各国の独禁法に違反する可能性があります。
独占販売権があっても並行輸入品は入ってくると考えるしかありません。
総代理店とは販売戦略の司令塔
総代理店はメーカーと契約して独占販売権を持つ代理店(販売店)のことです。
通常は代理店(販売店)の販売網を作って販売します。
エリア内の販売戦略を立案・実行する司令塔の役割なのです。
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