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輸入品の検疫とは?動物・植物と食品・食器の貿易手続き

輸入品の検疫とは?

検疫という言葉を一番目にする場所は空港だと思います。
入国審査の前には検疫ブースを通過し、また手荷物受取場では動植物は検疫が必須だと呼び掛けられています。
輸入でも同様に、入国のときに検疫が必要な場合があります。
検疫とは何か? 輸入品で検疫が必要なケースと手続きは? についてご紹介します。

検疫とは何か?

検疫とは、伝染病・害虫などが国境を越えて広まるのを予防するために、検査を行い、必要あれば隔離や消毒・焼却などをすることです。
外国との出入り口となる港や空港で、主に人や動植物などに対して検疫が行われています。
英語では” quarantine”。隔離という意味もあり、語源は検疫のための停船期間だった「40日」という意味のイタリア語から来ています。

オーストラリアで見る検疫

検疫の例として、オーストラリアの検疫を見てみましょう。
オーストラリアでは大陸固有の動植物を保護するため、外から動植物が入ってこないように厳重に警戒しています。
食品(一部の漢方薬も)は、レトルト・缶詰や焼き菓子など一部の食品を除いて、持ち込み禁止。輸入では検査が必要です。
オーストラリアの入国では手荷物もX線検査などで検査する徹底ぶりになっています。

輸入品の場合

日本への輸入に関しても、動植物の病気を持ち込まないことと、安全性を確保することの両方の面から、動植物・食品を中心に検査や消毒・焼却などが行われています。
検疫がある輸入品の場合、検疫の検査・審査を通らないと、税関の輸入許可が出ません。
手続きは対象によって分かれているので、以降の章でそれぞれの対象別に、役所の担当部署、手続きの概要をご紹介します。

人の検疫とは?

輸入の手続きの前に、まず人の検疫を確認しておきましょう。
人の検疫は、人間の伝染病の拡大を防ぐために行われます。
担当部署は厚生労働省検疫所。国際空港や港などにあります。
新型コロナウイルス(COVID-19)では、外国人の入国制限や、外国からの帰国者の14日間隔離が行われました。
普段は伝染病が流行している地域から来た人を中心に、質問票回収や注意喚起などが行われています。

動物の検疫とは?

動物の検疫は2つの担当部署に分かれています。
主に家畜やペットが農林水産省の動物検疫所、その他の動物が厚生労働省の検疫所の担当です。

動物検疫所の対象

農林水産省の動物検疫所の動物検疫は、国境を越えて動物の病気が拡大するのを防止するためのものです。
担当の動物検疫カウンターは空港や港の税関検査場内にあります。
家畜やペットなどの輸出・輸入動物のほか、水産動物も対象です。
また、食品になっているものも病気を運ぶことがあり、貿易が制限されています。
特に肉製品(干し肉やハムなどを含む)は必ず検疫が必要で、お土産や自分用での持ち込みは非常に困難。輸入するときには手続きが必要です。
乳製品では2017年から検査が必要な対象がチーズやバターなどに拡大しています。手荷物の乳製品は対象外です。

犬・猫・家畜などの輸入手続き

輸入手続きは動物の種類やどこから来たかによって違いますが、事前に準備・手続きをし、輸出国の政府が発行する証明書を取得、さらに入国時に検査という手続きが一般的です。
また、口蹄疫やASF(アフリカ豚熱)、鳥インフルエンザなどの家畜の病気が流行している国・地域からは、関係する動物(肉製品含む)は輸入禁止になっています。
ペットを外国に同伴する場合にも、入国・出国の手続きが必要になります。早めに条件を確認し、予防注射などの事前準備を整えてください。

上記以外の輸入動物

上で扱う動物以外の輸入動物は、厚生労働省の検疫所の管轄です。
こちらは輸入動物を原因とする人の感染症を防ぐことを目的としています。
海外から動物を持ち込むことはできないというのが原則。
例外的な手続きとして、輸出国の政府が発行する衛生証明書を入手するなどの要件を充たすと輸入できる「動物の輸入届出制度」があります。

植物の検疫とは?

輸出・輸入植物の検疫は農林水産省の植物防疫所が担当しています。
植物に有害な病害虫が国境を越えてまん延するのを防止し、農業と自然植物を保護することが目的です。
輸入植物検疫の対象は以下の通り:
・栽培用植物:苗、穂木、球根、種子など
・消費用植物:野菜、果物、穀類、豆類、切り花、木材等
・植物に有害な生きた昆虫・微生物など
植物の場合もペットや家畜などの動物と同じように、輸入禁止の種類や地域が定められています。
一般的な手続きは、輸出国で検査証明書を入手し、入国時に届出をして検査を受けます。病害虫の付着がなければ合格です。
不合格でも消毒措置となった場合には、消毒後に輸入可能になります。

食品の検疫とは?

食品は言葉の意味上は「検疫」にはあたりませんが、厚生労働省検疫所が輸入食品の監視を行っています。
目的は、人に害のある物質が口に入るのを防ぐことです。
対象は販売・営業用の輸入貨物で、食品や添加物だけでなく、器具、容器包装、乳幼児を対象とするおもちゃも含まれます。
調理用具や食器、食品保存容器、食品パッケージに使う材料など、食品に接するものは対象。乳幼児のおもちゃは小さな子が口に入れるので対象になっています。
食品を輸入する場合は、ほかに動物検疫や植物検疫に該当する可能性もあります。健康食品の場合は薬機法もチェック。

食品の輸入手続き

食品の輸入手続きは以下の通りです。

「食品等輸入届出書」とその他の必要書類を提出

検疫所が審査

必要に応じて検査

「食品等輸入届出済証」の交付を受ける

税関手続きに進む

検疫所が事前輸入相談を実施しているので、食品関連の輸入を始める場合にはアドバイスを受けることをおすすめします。

検疫とは輸入動植物・食品に必須の手続き

検疫とは、伝染病や害虫のまん延を予防するために、人・動物・植物などを検査し、必要があれば隔離や消毒などをすることです。
輸入では、動物・植物のほか、食品・食器や乳幼児用のおもちゃなどが対象になっています。
対象のものを輸入するには、事前の手続きや、輸出国での証明書入手、輸入時の検査など、数段階の手続きをクリアすることが必要。
動植物・食品を輸入するときには数カ月前から充分な準備をして臨んでください。

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