VAT(付加価値税)の意味は?貿易や海外旅行のときはどうなる?
VATの意味は?
海外旅行の請求書やレシートに書かれているVAT。海外ビジネスの話にも出てきます。
VATとは何でしょうか?
VATの意味・しくみをご紹介します。
輸出・輸入のときや、海外旅行のときのVATを理解して、海外のVATと上手に付き合いましょう。
VAT(付加価値税)とは?
VATとは英語のValue Added Taxの略。付加価値税と翻訳します。
発音はアルファベットの通り「ヴィ―・エイ・ティー」。日本では「ブイ・エー・ティー」と読む人が多いかもしれません。
付加価値税は商品やサービスを取り引きするごとに払う間接税です。
日本の消費税もVATの一種になります。
取引のVATの計算方法
取引にVATがどのように掛かるか以下の例で見てみましょう。税率10%とします。
・原材料メーカーA社→製品メーカーB社 本体価格:100円+VAT:10円
・製品メーカーB社→小売店C社 本体価格:500円+VAT:50円
・小売店C社→消費者 本体価格:700円+VAT:70円
計算式はVAT=本体価格×税率です。
買い手はVATを代金と一緒に売り手に支払います。
納税金額の計算方法
先のC社の例で納税金額はいくらになるでしょうか?
取引で預かるVATは70円。
ここから仕入れの代金に含まれていたVATを控除します。日本の消費税の仕入税額控除と同じしくみです。
計算式は納税VAT金額=売り上げのVAT-仕入れのVATです。
B社からの仕入れで支払ったVATが50円なので、C社の納税額は差額の20円になります。
*ほかの計算方法を採る国もあります。
付加価値税という意味は?
ところで付加価値税とはどういう意味でしょうか?
C社の話を続けます。
C社の販売本体価格700円のうち、B社からの仕入れ価格が500円。C社の取り分は差額の200円です。(C社の費用もここから払います)
この差額の200円がC社による付加価値です。
C社のVAT納税額20円は、この付加価値200円に対応した税金なのです。
VATを負担するのは消費者
上の例でA社・B社・C社はVATを申告して納税しますが、VATを負担するのは消費者です。
C社の例でいうと、消費者が払うVATは70円。預かったC社は20円を納税し、B社に50円を支払っています。
各社は販売の際に取引先からVATを預かって納税するので、各社のコストにはならないしくみなのです。
海外のVAT
海外でVATが導入されている国はどのくらいあるのでしょうか?
付加価値税がないのはアメリカ・香港・中東の一部の国くらい。
VATのしくみは世界150以上の国・地域で導入されています。
EUでは全ての加盟国が標準税率15%以上の付加価値税を導入しています。
VATの制度や税率などは国によってそれぞれです。
たとえばタイは税率7%。
ベトナムは標準税率10%で、食料品など必需品の軽減税率5%が設定されています。
呼び方はいろいろある
各国の付加価値税の名称にはいろいろあります。
日本では消費税。中国では増値税。
VATは英語の略語なので、その国の言葉の頭文字を取った名称も見られます。
GST(物品・サービス税、Goods and Services Tax)と呼ぶ地域もあります。オーストラリアやシンガポールなど。
貿易でVATはどうなる?
では貿易で海外と取引をするときに、海外のVATはどのように関係してくるでしょうか?
日本への輸入
日本への輸入、つまり海外の国から輸出する場合、輸出国のVAT税率は基本的に0%(実質免税)です。
その場合輸出する会社は仕入れVATの還付が受けられるなど損をしないようになっています。
ネットショップなどで間違って請求されたら確認してもらいましょう。
尚、輸入時には日本の輸入消費税が掛かります。
日本からの輸出
日本から輸出する場合、日本の消費税は免税です。仕入れVATは還付されます。
輸入する国でVATが掛かる場合は、輸入者が負担します。
海外旅行時のVATは?
海外旅行のときのVATはどうでしょうか?
税率が20%を越える国が多いヨーロッパでは特に気になります。
店頭表示の”Tax refund”の意味は?
基本的な考え方としては、VATは国内の消費に掛かる税金なので、外国人旅行者が持ち帰る商品のVATは免税です。
手続きのために、免税店(Tax Free Shop)での一定金額以上の買い物などに限定して、VATの還付が受けられるようになっています。
“Tax refund”と書いてあるのはVATの還付が受けられるという意味なのです。
ショッピングの免税手続き
免税手続きは、買い物をした店で手続き用の書類を受け取り、出国時に空港で手続きをするのが一般的です。
尚、商品を使うと免税になりません。未開封のまま手続きのときに見せられるようにしておきます。
また、空港の手続きカウンターは数時間並ぶことがあります。ギリギリになって焦らないように余裕をみておきましょう。
ホテルは免税にならない?
ホテルやレストランなどはその場で消費するものなので、残念ながら免税にならないのが一般的です。
例外もあります。
EUでは会社が払った出張者のホテル代などは還付の対象です。手続きは専門業者に依頼。
韓国では外国人観光客向けに一部ホテルでVATを還付する「ホテルタックスリファンド」を実施しています。
VATの意味を知って正しく付き合おう
VAT(付加価値税)は商品やサービスを取り引きするたびに払う税金です。
日本の消費税をイメージすると理解しやすいでしょう。
国内で消費されるものが対象なので、輸出や海外に持ち帰る商品など、その国の外で消費されるものは免税というのが基本的な考え方です。
輸出の場合は請求金額にVATが含まれていないかチェック。
海外でのショッピングでは還付を受けられないか確認してみましょう。
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