1. HOME
  2. ブログ
  3. 越境ECとは?拡大する販売機会の市場規模、始め方、輸出上の注意

越境ECとは?拡大する販売機会の市場規模、始め方、輸出上の注意

越境ECで拡大する市場

インバウンドと越境ECは日本のビジネスの成長戦略に欠かせないキーワードです。
越境ECとは何か、拡大している理由と、2020年時点の最新市場規模を解説します。
越境ECは人手や資金が限られた小規模事業者でも海外に販売できる方法です。日本の拠点からできる越境ECの始め方を紹介。
越境ECは輸出取引なので、輸出上の注意点も要チェックです。

越境ECとは何か?

まず、越境ECとは何か、確認しておきましょう。
越境ECとは国境を越えた国際的な電子商取引のこと。
「EC」とは電子商取引(Electronic Commerce)のことです。Eコマース(E-Commerce)ともいいます。
インターネット上で取引するので、いつでもどことでも可能。時差も関係ありません。
英語ではCross-border e-commerce(クロスボーダーEC)。
中でも企業が海外の消費者に直接販売するBtoCの越境ECが注目されています。

越境ECの市場規模

越境ECが注目を集めている理由は、市場規模を見ると分かります。
経済産業省が2020年に発表した「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」のデータを見てみましょう。

世界の越境EC市場規模

世界の越境EC市場規模は急拡大しています。
・2020年の世界の越境EC市場規模(推計) 9,123億USドル
・2027年(予測) 4兆8,561億USドルに拡大
この間の年平均成長率はなんと約27%!
世界のBtoCのEC*市場規模は、2019年(推計)で3.53兆USドル。前年比約20%増の拡大ペースですが、越境ECの市場規模はこれを上回って拡大すると見られています。
ちなみに、日本の2019年のBtoC-EC市場規模(推計)は19兆3,609億円、対象が違いますが世界の数字のざっと5%です。伸び率も小さく7.65%。
商取引のインターネット化率であるEC化率で見ても、2019年推計は世界*の14.1%に対し、日本(物販系分野)は6.76%。
日本で感じるインターネット販売の勢いより猛烈な勢いで、EC市場、中でも越境ECの市場規模は拡大しているのです。

日本から海外への越境ECの市場規模

では日本から海外へ販売する越境ECの市場規模はどうでしょうか?
同じ調査で、日本と中国、アメリカの間の2019年BtoC越境EC*市場規模が推計されています。
・日本→中国 1兆6,558億円(前年比7.9%増)
・日本→アメリカ 9,034億円(前年比9.7%増)
中国は国別EC市場規模でダントツの1位です(2019年*中国1兆9,348億USドル、2位アメリカ5,869億USドル)。
越境ECの利用度も42%(2018年調査)と比較的高く、今後とも市場規模拡大が期待できます。
*注 旅行やイベントのチケット、料金支払い関連、税金、送金、フードサービス、ギャンブル等を含まない
出典:経済産業省ホームページ

越境ECが注目される理由とは?

日本で越境ECが注目されたきっかけは、訪日中国人客のインバウンド需要の購買力(爆買い)と、中国帰国後のリピート購入や口コミによる販売拡大でした。
日本品質が評価されて中国で買いたい人が増えたほか、中国のネット通販に多い偽物の心配が少ないという点も加わり、日本からインターネット通販で購入する人が増加。
日本の越境ECでは、市場が大きく距離的にも近い中国向けが中心になっています。
消費者にとっては、スマホが普及し、外国の商品でもインターネットで簡単に買えるようになったことが、越境EC増加の理由です。
売り手にとっては、販売先が海外にも広がり、新興国の伸びる需要が取り込めるというメリットがあります。

越境ECの始め方

越境ECの始め方は、海外の消費者が購入できるインターネットショップ(ECサイト)を開設するのが第一歩です。
日本に拠点を置いて越境ECサイトを開設する場合の始め方は以下の3つ。
簡単に始められるのは日本で出店する1, 2の方法ですが、地場のECモールやその国向けサイトの方が現地の消費者がアクセスする可能性が高くなります。

1. 自社サイト

日本語の自社ECサイトをすでに作っている場合には、多言語に対応するツールで現地の言葉に自動翻訳することで、受注に対応することができます。
対応言語は英語、繁体中国語(香港・台湾)、簡体中国語(中国本土・シンガポール)などが主。韓国などを対象にする場合には対応しているサービスを選んでください。
配送はEMSやDHLなどを使って直送するか、転送サービスを使います。

2. 日本の海外対応ECモールに出店

海外への販売に対応した日本のECモールに出店します。方法は日本の出店と同様。
たとえばアマゾンジャパン(amazon.co.jp)でも海外配送プログラムを利用することが可能です。
但し日本語では海外からのアクセスが限られてしまいます。
次の3の方法ですが、Amazonグローバルセリングを利用して現地のアマゾンに出品する方が成果を見込めます。

3. 現地のECモールに出店

ターゲットとする国のECモールに出店します。
中国なら、海外企業が出店可能なECモールは、天猫国際(TMALL GLOBAL)と京東国際(JD Worldwide)です。
配送は受注ごとにEMSやDHLなどを使って直送するか、中国では保税区という特別なエリアの倉庫を活用する方法がよく行われています。中国の倉庫に商品を在庫しておき、受注したら倉庫から配送する方法です。
現地のECモールへの出店手続き・交渉には、越境EC代行会社に依頼する方法があります。

輸出取引という点に注意

初めて海外市場に挑戦する場合には、越境ECは輸出取引だということに留意してください。
輸出では相手国の規制(輸入規制や許認可など)への対応が必要。
消費者向けに販売するには、その国の言葉や一般的な取引方法(決済・発送など)に合わせることも欠かせません。
ほかに輸出取引が国内と違う代表的な点は以下の通りです。
・相手国の輸入時に関税が掛かる
・輸送費が国内配送より高額
・航空輸送禁止物がある(花火などの爆発物ほか)
・相手国通貨(USドル建て価格なら米ドルも)と日本円の為替相場変動により、売上金額か消費者にとってのコストが変わる
輸出に不慣れな場合には、越境EC支援サービスを使うか、貿易に詳しい専門家のアドバイスを受けるといいでしょう。
JETRO(ジェトロ、日本貿易振興機構)も越境ECセミナーを実施しています。

越境ECへの進出を検討

越境ECとは海外とインターネット上で取引することです。
越境ECの市場規模は急拡大していて、日本からも中国向けを中心に成長しています。
海外に拠点を設けなくても、海外市場に販売先を広げることができるというのも魅力の一つです。
拡大する越境ECへの進出を検討してみてはいかがでしょうか。

貿易ビジネスの最新情報を
無料でGETする方法
※ご登録いただいたメールアドレスに貿易ビジネス情報を配信します。
※「メールが届きません」というお問合せをいただくことがあります。迷惑フォルダーに届いているケースがあるようです。メルマガ登録直後にシステムから自動にサンクスメールが送られますので迷惑フォルダに届いてないかをご確認いただければと存じます。お手数おかけします。
メールマガジンの停止はお問い合わせよりご連絡下さい。

関連記事