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現在のTPPの特徴とは?加盟国と経緯、輸出・輸入での使い方

TPPとは?

TPPとは環太平洋パートナーシップ協定のことです。
英語のTrans-Pacific Partnership Agreementの略。
環太平洋経済連携協定と呼ばれることもあります。
影響が大きい貿易協定として、ニュースで連日取り上げられていたのを覚えている人もいるでしょう。
が、現在発効済みのTPPは実はそれとは別に締結された協定なのです。
TPPの加盟国、特徴、貿易へのメリットなどを確認して、TPPを使いこなしましょう。

TPPとは何か?特徴は?

そもそも「TPPとは何か?」を確認しておきましょう。
TPPは経済連携協定(EPA)の一つです。
EPA・FTAとは、関税の削減・撤廃を中心として、物品やサービスの貿易を自由化する国と国(もしくは地域)の協定のこと。
EPAはそれに加えて、投資や知的財産、人の移動などのルールも取り決め、経済関係を強化しようとする協定です。
分かりやすく言うと、国と国の間にある経済的な垣根をなくして、一つの国のように取引がしやすい貿易圏を作ろうという取り組みなのです。

TPPの特徴とは?

TPPの特徴は、世界の保護主義的な傾向に対抗して、高レベルな自由貿易のルールを掲げていることにあります。
関税撤廃率は他の協定と比べて非常に高水準です。
最終的に撤廃する関税は、日本以外の国は99%、日本は95%(品目数、貿易額とも)。
また、電子商取引や国有企業に関する公正な取引のルールを取り決めています。
このほか、知的財産、投資、サービス貿易、労働、環境など広い分野でルールを設けているのが特徴です。

TPP加盟国と経緯は?

TPPはどんな国・地域の経済連携協定(EPA)なのでしょうか?
EUやASEANに比べると、「環太平洋」というのは地理的まとまりが薄いような印象があります。
TPPは簡単に言うと、このエリアのAPEC(アジア太平洋経済協力)に加盟する国・地域が参加できる経済連携協定です。
実際に現在のTPP加盟国はすべてAPECの加盟国になっています。
但し、TPPは締約国が合意すればどこの国でも参加でき、エリアというより自由貿易を重視する国が集まった経済連携協定なのです。
現在TPPに参加している国は11カ国。
加盟国と交渉の経緯を簡単に紹介します。

元になったP4協定

TPPには元になる協定があります。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPSEP、P4)というEPAです。
2005年に合意。
加盟国:ニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイ

アメリカを含めた12カ国の協定が頓挫

このP4協定を拡大して作った協定がTPPです。
元の加盟国4カ国のほか新たに8カ国が参加し、計12カ国が加盟。
アメリカが含まれていたので、大型EPAとして非常に注目されました。
2016年に署名まで進んだのですが、トランプ大統領が就任したアメリカがTPPから離脱。
現在発効できない状態のままになっています。

現在のTPP11協定

この状況を受けて、アメリカ以外のTPP加盟国が取り決めたのが、現在発効しているTPP11協定です。
正式名称は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)。
略称はTPP11、もしくはCPTPPです。
2018年に11カ国が署名し、うち7カ国が手続きを完了して発効しました。(2021年現在)
加盟国(発効済み):日本、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナム
加盟国(未発効):ブルネイ、チリ、マレーシア、ペルー

TPP11の規模は?

TPP11の経済圏の規模は以下の通りです。
・人口:約5億人
・GDP:約10兆ドル
・貿易額:約5兆ドル
アメリカが離脱したため、小規模でのスタートになりました。
たとえば日本・中国・韓国が参加するRCEPと比較すると、経済圏の規模は半分以下です。
一方、関税の撤廃率・品目やルールは高レベルなので、加盟国と貿易をするときのメリットは大きくなっています。

TPPの貿易へのメリット

TPP加盟国を相手に輸出・輸入をする際には、TPPで安くなった関税率を使えるのが大きなメリットです。
特にカナダとニュージーランドは日本と初めてのEPA。両国との間では初めてのEPA税率になります。
他の国ではほかのEPAと比較して、対象品目の税率のうち一番安い税率を選択可能。
以前のEPAでは対象になっていなかった品目も、TPPでは削減されているものがあります。
日本への輸入の場合は、日本の実行関税率表で確認。

TPP税率の使い方

TPPで関税が撤廃された品目でも、輸出・輸入のときの関税が自動的に下がるわけではありません。
輸出・輸入する貨物が「原産品」であるという申告が必要です。

原産地規則を調べる

TPP税率を使えるのは、加盟国の原産品と認められるルール(原産地規則)に当てはまる物品です。
主要原材料が域内で作られているか、品目別原産地規則を満たすことが条件になっています。
税関の原産地規則ポータルで確認。

自己申告制で原産地証明

TPP11の適用対象と確認できたら、次は申告です。
TPPの原産地証明手続きは、自己申告制度(自己証明制度)を採っています。
他のEPAに多い第三者証明制度(日本商工会議所が原産地証明書を発行する方法)ではないので注意。
原産地証明書を作れるのは、生産者、輸出者、輸入者です。
指定フォームはありませんが、必ず記載する内容が決められています。
言語は英語が基本。
裏付けとなる書類は5年間保存が必要です。

今後のTPPの加盟国に注目

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は高いレベルの自由貿易ルールが特徴のEPAです。
アメリカが離脱し、現在11カ国で合意したTPP11協定が発効しています。
2021年にはEUを離脱したイギリスが加盟を申請しました。
ほかに、中国、韓国、台湾、タイなどもTPPへの関心を示しています。
高レベルな自由貿易ルールや加盟国との合意が必要など、参加へのハードルは低くありませんが、TPPの吸引力に注目です。
最新のTPPの加盟国情報をチェックして、フルに活用してください。

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