燃料・燃油サーチャージ(surcharge)とは?
燃料・燃油サーチャージ(surcharge)とは?
国際線の航空券を買うと航空券代と別に請求される「燃油サーチャージ」。値上げや値下げの話が気になります。
でもこれなんで価格と別にあるのでしょうか?
「サーチャージ(surcharge)」とはそもそも何?
燃料・燃油サーチャージは貿易や国内物流にも存在します。
海上輸送とトラックの燃料サーチャージも解説します。
サーチャージ(surcharge)とは?
「サーチャージ(surcharge)」は物流関係だけでなく費用明細で目にする言葉です。
どういう意味なのでしょうか?
この「サーチャージ(surcharge)」は追加料金という意味。
たとえばホテルの電話使用料金は”Hotel telephone surcharge”です。
ルームチャージに含まれていないサービスは「サーチャージ(surcharge)」として請求されます。
燃油サーチャージは英語では”Fuel surcharge”です。
燃料・燃油サーチャージとは何?目的は?
それでは燃料・燃油サーチャージとはどのような追加料金なのでしょうか?
燃料・燃油サーチャージが発生するのは、飛行機や船、トラックなどの運送の場面です。
飛行機などを動かすには大量の燃料が必要ですが、この燃料の元である原油の価格は地政学リスクや投機などで激しく変動しています。
ガソリン価格の高騰を覚えている人もいるでしょう。
燃料費の急騰の影響を受け、倒産する会社もありました。
そこで対策として導入されたのが燃油サーチャージ(燃料サーチャージ、燃料割り増し料金)です。
なぜ運賃と別にあるの?
輸送サービスを安定的に維持するには、変動する燃料代を運賃に反映する必要があります。
しかし運賃は契約や認可料金で決まっているので、短期間のうちに変更するのは困難。
このため、運賃とは別の燃油サーチャージという調整のしくみを設けて、燃料費の変動分を反映することになったのです。
航空券・フェリーの燃油サーチャージとは?
主に海外に行くときの航空券代についてくるのが燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)です。
燃油サーチャージの料金は航空会社ごとに決めています。
見直しは2か月ごとの会社が主流。
料金は搭乗日ベースではなく発券日で決まるので、発券したら金額が変わることはありません。
(ツアーの場合は申し込んだ後に旅行会社が差額を調整することがあります)
燃油サーチャージの計算方法は、航空機燃料(ジェット燃料)に使うケロシンという油の価格を指標として使います。アジアの場合はシンガポール市場の取引価格です。
JALの場合、直近2カ月のシンガポールケロシンの平均価格に、同時期の為替レート平均を掛けて、円建て平均価格を計算。算出表によって燃油サーチャージが決まります。
ANAの燃油サーチャージ料金もJALと同じです。
消費税は国際線では免税になっています。
燃油サーチャージがない航空会社の方が安い?
燃油サーチャージは2020年11月現在0円の会社がほとんどですが、近年は欧州・北米便が1万円台で推移していました。高い時期には5万円になったこともあります。
いつも燃油サーチャージがないといいですね。
実際、LCCなどでは燃油サーチャージの請求がない航空会社があります。
国内線でも、FDAが燃油サーチャージを設けているのに対し、JALやANAの国内線は燃油サーチャージが掛かりません。
なぜ燃油サーチャージがないかというと、航空券代に燃料コストを反映していると考えられます。実際安いかどうかは航空券代金と合わせて検討してください。
旅行会社のサイトで燃油サーチャージ一覧を見ることができます。
フェリーにも燃料サーチャージがある
フェリーにも燃料費を調整するためのサーチャージがあります。
国内のフェリーの場合の名称は「燃料油価格変動調整金」です。
釜山と福岡・対馬を結ぶ高速船BEETLE(ビートル)では、飛行機と同様に「燃油特別付加運賃」と呼んでいます。
こちらも発券の際に乗船運賃に加えて支払います。
貿易の燃料割り増し料金とは?
貨物の輸送にも燃油・燃料サーチャージがあります。
航空輸送では、飛行機の燃油サーチャージ。
DHLやFedExなどの国際宅配便にも「燃料割増金」があります。
(EMSにはありません)
人が移動するときには「一人あたりいくら」という料金設定ですが、貨物の場合には「トンあたりいくら」「コンテナあたりいくら」という料金設定になります。
海上運賃のBAFとは?
船舶による輸送では、海上運賃の内訳に燃料サーチャージが含まれています。
項目名はBAF(Bunker Adjustment Factor、燃料費調整係数)。燃料割り増し料金などと呼ばれています。
航路によって呼び方が違い、BS (Bunker Surcharge)、EBS (Emergency Bunker Surcharge)、EFAF (Emergency Fuel Adjustment Factor)、FAF (Fuel Adjustment Factor)も同様の料金です。
BAFの基準になるのは船の燃料である重油の価格変動。料金は船会社が設定しています。
消費税は輸出・輸入貨物の輸送では掛かりません。
輸入するときに届くArrival Notice(貨物到着案内)には、ほかのサーチャージと並んで明細が記載されているので、チェックしてみましょう。
トラック輸送にも燃料サーチャージ制がある
日本のトラック輸送でも2008年から燃料サーチャージ制が導入されました。
基準は軽油の価格です。
国土交通省が公表した「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」に、算出方法の雛形が掲載されています。燃料サーチャージ算出シートもこちら→国土交通省WEBサイト
国内宅配便でも、西濃運輸のカンガルー便は燃料サーチャージ制を導入しています。
消費税は国内運賃の一部なので課税対象です。
変動する燃料・燃油サーチャージに注意
燃料・燃油サーチャージは、大きく変動する原油価格に対応するために、運賃とは別に燃料代の調整を行う運送料金の一部です。
燃料・燃油サーチャージ制度があるのは、航空機、船舶、トラックなど。
最近では環境規制に対応するためのコストを徴収するサーチャージも出てきています。
Low Sulphur Fuel Surcharge(LSS)という低硫黄燃料サーチャージなどです。
大気汚染対策のために、MARPOL条約附属書Ⅵで船舶の燃料中の硫黄分濃度を制限。NOxの排出も制限しています。
航空券の購入や、輸出・輸入などの物流を手配する際には、燃料・燃油サーチャージの料金の動向にも注意するといいでしょう。
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