1. HOME
  2. ブログ
  3. 意匠権とは?コピー商品はなぜいけないか、意匠権の意味と制度を解説

意匠権とは?コピー商品はなぜいけないか、意匠権の意味と制度を解説

意匠権とは?パクリ商品が問題になる理由

パクリ商品、似たようなコピー商品の裁判を時々ニュースで見かけます。
完全な偽物ならともかく、どこが問題なのでしょうか?
問題ない商品との線引きは?
その答えが、意匠権・特許権・商標権などの知的財産権にあります。
この記事では意匠権を中心に、どんな制度かを解説します。

意匠権とは何か?

意匠権とは、商品や店舗などのデザインの生産・使用・販売を独占できる権利です。
他人が勝手に使えないので、デザインから生まれる利益を守ることができます。
登録されたデザインや類似のものが使われたら、製造・販売などの差し止めや損害賠償請求が可能です。刑事罰もあります。
デザインを保護することで、優れたデザインの創作を奨励するだけでなく、ブランド価値を守ったり、特許権との組み合わせで機能や構造などの模倣品を排除したりします。
読み方は「いしょうけん」。英語では「Design Rights」といいます。

意匠とは?

意匠とは簡単にいうとデザインのことです。
意匠法では意匠のことを、「物品」「建築物」「画像」で、形状や模様・色からなるデザインと定義しています。
量産可能な工業製品であることが条件です。

意匠権はどんなものにある?

物品の例

自動車や服飾などの消費者向け商品や、産業用ロボット・部品などの産業用製品も対象です。
商品全体のデザインだけでなく、デザインの一部分や、パッケージも登録されています。
成功例としては、ホンダの「スーパーカブ」、Apple社のワイヤレスイヤホン「AirPods」、ユニ・チャーム株式会社の「超立体マスク」など。
コートのファーなど組み合わせでも意匠権が認められています。

建築物の例

2020年に建築物や内装にも意匠権が認められるようになりました。
建売住宅のほか、くら寿司や蔦屋書店の店舗の内装が登録されています。

画像の例

画像も2020年に追加された分野です。インターネット上のデザインなど、モノに書かれた画像以外も意匠権が登録できるようになりました。
以下2種類が保護の対象です。
・スマホのアプリアイコンや、ネットショップの購入画面のデザインなど、操作に使う画像
・時刻や測定結果など、機能の結果を表示する画像

コピー商品と知的財産権との関係

ここまで見てきたように、意匠権は商品などのデザインを保護しています。
コピー商品は、優れた機能・構造、デザイン、ブランドなどを模倣して、その価値を利用して利益を得ようとする商品です。
オリジナル商品の製作者から見ると、得られるはずだった利益がコピー商品に奪われてしまいます。
これでは優れた商品を生み出す努力をする意欲がなくなるため、オリジナル性に権利を認めて、登録されているものはほかの人が勝手に使えないようにしているのです。
意匠権はその一つ。意匠権・特許権・実用新案権・商標権を産業財産権といい、これに著作権を合わせて知的財産権と呼びます。

著作権・特許権・商標権との違い

産業財産権はいろいろな角度から商品を保護しています。
・意匠権:デザイン
・特許権:機能や方法などの発明
・実用新案権:構造などの改良
・商標権:ネーミングやロゴなど
ロゴデザインや部品の形状など、意匠と商標や特許・実用新案とは重複する部分もあります。
一方、著作権は思想・感情の表現を保護する権利です。
産業財産権は登録したものだけが保護されるのに対し、著作権は登録不要で発生する権利という違いがあります。
美術・イラストは著作権の対象ですが、芸術として楽しむ純粋美術は著作権、実用性のある応用美術は意匠権と判断されています。

意匠権の調べ方は?

登録されている意匠は特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で調べることができます。登録不要、無料です。
新たに商品を製作・輸入するときには、意匠権侵害にならないように確認することをおすすめします。
また、意匠権を出願する前には、似たような意匠があると登録できないので調査が必須です。
検索方法は、簡易検索なら「意匠」のボタンをクリックして、物品名や会社名などのキーワードを入力。例えば「タニタ 体組成計」と検索します。
結果が多い場合は出願年や分類などで絞り込めます。
類似のデザインを見つけたら「意匠登録(+数字)」のリンクをクリック。どのデザインや部分が登録されているかを確認してください。

意匠権の登録方法は?

類似の意匠が登録されていないなら、検討している商品の意匠権を取得しましょう。
ほかの人が意匠登録してしまうのを防げます。
意匠権の取得方法は、特許庁に意匠登録出願をします。
新規性や創作非容易性などの必要な要件を満たしているか審査があり、登録査定が出て登録料を納めると、意匠権が登録されます。

意匠権の期間は?

意匠権の存続期間は、意匠登録出願日から最長で25年です。
(2020年3月31日までの出願は20年、2007年3月31日以前の出願は15年)
商標権のように期間を更新できる制度はありませんが、存続期間の範囲で繰り返し延長することができます。

意匠権の費用は?

意匠権の取得費用は以下の通りです。
・意匠登録出願:16,000円
・登録料:(第1年から第3年まで) 毎年8,500円
(第4年から第25年まで) 毎年16,900円
弁理士に出願手続きを依頼する場合はこのほかに代理人費用が発生します。
特許権に比べるとスムーズに登録される率が高く、順調に進めば期間は半年ほどです。

海外の意匠権は?

意匠権の制度は国ごとに運営されていて、アメリカで登録済みでも日本で未登録なら、日本では意匠権がありません。
海外に商品を輸出・輸入するときには、それぞれの国の意匠権を調べることが必要です。
複数の国で登録するには国際登録制度があり、日本の特許庁などを窓口に一つの手続きでまとめて出願できます。(中国は未参加)
意匠の国際登録は5年間有効で更新可能。存続期間は登録日から15年間です。日本のように存続期間が15年より長い国では、その国の存続期間と同じになります。

輸入は類似品の意匠権に注意

意匠権は商品などのデザインを保護し、生産・使用・販売を独占できる権利です。
類似のデザインに対して製造・販売などの差し止めや損害賠償請求が可能。
新商品の開発をするときには、似たようなデザインが登録されていないか確認が必要です。
輸入では日本の意匠権を要チェック。特に類似品については意匠権侵害で訴えられないようよく確認してください。

貿易ビジネスの最新情報を
無料でGETする方法
※ご登録いただいたメールアドレスに貿易ビジネス情報を配信します。
※「メールが届きません」というお問合せをいただくことがあります。迷惑フォルダーに届いているケースがあるようです。メルマガ登録直後にシステムから自動にサンクスメールが送られますので迷惑フォルダに届いてないかをご確認いただければと存じます。お手数おかけします。
メールマガジンの停止はお問い合わせよりご連絡下さい。

関連記事