貿易で利益を確実にするL/C決済の流れについて
貿易は双方に利益をもたらす
貿易というものは、自分の得意なものを輸出し、不得手なものを輸入することによって、輸出者と輸入者の双方に利益をもたらすものです。例えば米国は得意な飛行機に特化し、日本は自動車に特化して、補うように貿易を行うことによって、双方に利益があります。
ところが、両者がお互いに知らない相手の場合、輸出者からすると「貨物を発送したのに代金を回収できない」という不安、輸入者からすると「代金を支払ったけれど、貨物が届かない」という不安があります。
この不安を解消するための仕組みが、L/C決済という貿易独特の仕組みです。
L/C決済の仕組み
L/CとはLetter of Creditの略で、日本語ではエルシーと呼ばれ、信用状と訳されます。簡単にいえば、輸出者と輸入者の間に、輸出国の銀行と輸入国の銀行が入り、信用を供与することによって、代金回収と貨物到着を確実にするものです。
L/C決済の流れは、輸出者と輸入者の売買契約交渉の中で、お互いがL/C決済に合意するところからから始まります。
輸入者は取引先銀行(開設銀行)にL/C発行を依頼し、発行されたL/Cは輸出者の近くの銀行(通知銀行または買取銀行)を経由して、輸出者に渡ります。
輸出者は納期が近づくと、海貨通関業者(乙仲=おつなか)を通じて船舶の手配をし、貨物を保税地域(貨物の税関手続きが終了するまで蔵置される場所)に搬入します。搬入後、乙仲が通関の手続きを進めます。
港湾で通関手続きが完了すると、乙仲は商品を船に積み込みます。船会社は商品の受取りと引き換えに船荷証券(B/L)を発行します。輸出者はB/Lを受け取ると、L/Cに書かれた条件の通りに書類を作成して、船積書類を銀行に買い取ってもらいます。つまり、L/C取引は書類の売買でもあります。
書類を受け取った買取銀行は、それを開設銀行に送ります。開設銀行は、輸入者に対して船積書類到着を知らせ、代金を請求します。輸入者は、船積書類を受け取り、目的港に到着した船会社に対して船荷証券を渡して、貨物を受け取り、これで取引が完了します。
L/C決済は、お互いに知らない取引相手との取引や、多額の取引の場合に利用されますが、L/Cには「厳密一致の原則」というものがあり、輸出者の作成書類が1字でも違うと、「ディスクレ(discrepancy)と言って銀行が書類の買取りを拒否する場合があります。そのため、長期取引関係で信用のある相手先の場合、L/Cを使わず後払い方式にする場合が多いようです。しかし、貿易取引を理解するためには、L/Cの仕組みを理解しておくことが必要です。
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