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関税とは?輸入品にかかる関税の基本をわかりやすく解説

関税について説明する記事中のイメージ画像です。鮮やかな青空を背景にいろとりどりのコンテナが複雑な曲線を描きます。

関税とは何かをわかりやすく解説

ニュースを見ていると関税の話が時々出てきます。
アメリカと中国との貿易摩擦では関税の引き上げ合戦が起こりました。
RCEPやTPPなどの経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)は逆に関税を安くする取り決めです。
また、海外からネット通販で購入するときにも関税の話が出てきます。
関税とは何か、わかりやすく簡単に説明しましょう。

関税とは何か?

まずわかりやすいように代表的な関税について説明します。
関税とは、主に外国から買ってくるモノ(輸入品)に掛けられる税金です。
国内の農家やメーカーを保護することを目的にしています。
輸入品に関税が上乗せされると、関税の分だけ輸入品の値段が高くなるので、その分価格の面で国内品が売れやすくなるという効果があります。

関税の知識(中級編)

実は輸出品にも関税がある国があります。
正確には、関税とは国境を越えて運ばれる物品に掛けられる税金のこと。
国の収入が欲しいときにも使われます。
直接税、間接税という税金の区分でいうと、間接税です。
消費税などと同じように価格に上乗せされるのが一般的です。

関税はどんなときに掛かる?

関税が掛かるのは以下のようなケースです。
・日本で売るために商品を輸入
・海外通販で商品を購入
・海外旅行で買った土産物を持ち帰る
宅配便で荷物が届いても、自分で運んでも、海外からの荷物ならすべて関税の対象です。

少額の場合は?

少額の場合は例外として、関税がかからない金額が設定されています。
海外のネットショップで購入する場合は、送料・保険料込みで1万円以下であれば免税。
自分で使うために買う場合には、小売価格が16,666円以下であれば免税です。
革製品、ニットの服、革靴(一部スニーカーも)など免税にならない商品や、タバコ税・酒税など免除にならない税金もあります。

個人も対象?

個人が輸入する荷物も関税の対象です。
会社などの法人が輸入する大口貨物も、個人の小口輸入も同じように関税が掛かります。
転売などビジネス目的のほか、たとえば海外通販で自分の服や財布を買うときも同様。
ただ、個人的に使用する目的で輸入するときには「個人輸入」という特例があり、関税が少し安くなります。
尚、この「個人輸入」の特例は、個人によるビジネス目的の輸入のときには使えないので注意してください。

関税は誰が払うもの?

関税とは誰が払うものでしょうか? 輸出者(売主)と輸入者(買主)のどっちが払うか分かりますか?
答えは、輸入者です。(輸出者が支払うことも可能)
関税は輸入するときに掛かる国内の税金なので、どの国でも輸入者(買う人)に支払い義務があります。

【ニュースの関税が知りたい!】
TPPやRCEP、貿易摩擦などのニュースの印象から、「関税は輸出品に掛かる税金では?」と思った人もいると思います。
関税は輸入するときに掛けられますが、商品の価格に反映されるので売れ行きに影響し、輸出に大きなインパクトを与えます。
貿易摩擦で相手の国の商品に高関税を掛けると、価格が高くなって売れなくなり、結果として輸出を妨げることになります。
RCEPやTPPなどの経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)は、関税が安くなるので売りやすくなり、貿易を活発にする効果を持っています。

売主に関税を払ってもらうには?

ネット通販で購入する場合など、「面倒だからショップ側で全部やってほしい」と思う人も多いでしょう。
DHL・FedExなどの国際宅配便を利用する場合には、購入前にショップと合意できれば、関税納付が済んだ商品を自分の部屋まで届けてもらうことが可能です。
送料を発送人払いにするのと同様に、関税も発送人払いにします。
(送料元払いでも、別途取り決めなければ関税は受取人払いになります)
関税分の金額は、商品代金の決済のときに合わせて請求されるのが一般的です。

ビジネスの場面での関税の負担方法

前項で見たように、関税は売主負担にすることも可能です。
貿易取引条件(インコタームズ)でDDPという条件になります。
ただ、国内の手続きを海外の売主がすると、手続きが難しかったり、追加の手数料が発生したりすることがあります。
このため、輸入国で発生する国内運送料(海上輸送や航空輸送の場合)や関税・消費税は、輸入者(買主)負担とするのが一般的です。
費用負担に応じて商品代金を交渉します。

関税はいつ誰に払う?

関税は輸入手続きの際に納付することになっています。
海外から国内にモノが入ってくるときには、空港や港にある「税関」という役所で、「通関」という手続きがあります。人が空港で入国審査を受けるのと同様です。
通関では、日本で禁止・制限されているものでないかを確認し、関税を徴収して入国許可を出します。

関税の支払い方法

「税関まで行って、関税を払って荷物を受け取るの? かなり面倒……」
いいえ。心配はいりません。
ほとんどの場合、通関手続きは運送会社が代行します。関税の納付も手続きの中で代行。
受取人のところには通関済みの荷物が届けられるので、関税は運送会社に支払います。
海外通販で使うことが多いDHLなどの国際宅配便なら、荷物の配達のときにドライバーに支払えばOKです。
国際郵便のEMSも税金が30万円を超えなければ同様。
海上貨物輸送や航空貨物輸送による輸入で通関業者に手続きを依頼する場合には、通関料金と一緒に支払うのが一般的です。
関税と合わせて、輸入品にかかる国内の消費税も支払います。

関税額はどうやって決まる?

関税の金額はどうやって誰が決めるのでしょうか?
関税がいくらになるかを決めるのは税関です。前に説明した通関手続きのときに、提出された書類を元に決定します。
ここで重要なのが「インボイス」という書類です。輸出者が作成し、荷物の内容や金額などを申告します。
この情報を元に、税関はどの税率に当てはまるか判断し、荷物の金額によって関税額を決定するのです。
ちなみにこのインボイスは、国際宅配便やEMSで海外に荷物を送るときに作成するインボイスと同じものです。通関手続きで使う大事な書類なので、英語で正確に記入しましょう。

関税額の計算方法

関税額の計算方法も簡単に紹介しましょう。
関税額は基本的に「課税対象価格」×「関税率」で計算します。
「課税対象価格」は、商品代金+輸入にかかる保険料+日本までの運賃=いわゆるCIF価格です。
これまでに説明したように、輸入が少額の場合や、個人的使用目的の場合は、免税制度や、異なる計算方法があります。

関税率を決める2つの要素(1)物品の種類

「関税率」は物品の種類原産地という2つの要素で決まります。
1つめは物品の種類。
物品の種類は、HSコードという各国共通の部分を持つ番号で分類されています。
たとえばアパレルなら、男性用・女性用、コート・スーツ・ジャケットなどの形状、素材によって細かく分類。
この分類ごとに基本税率が決まっています。
物品の分類は大変難しいので、「関税分類の事前教示制度」で問い合わせるのが確実です。

関税率を決める2つの要素(2)原産地

2つめは原産地。
原産地とは製品が実際に作られた国・地域のことです。
原産地によって安い関税が基本税率の例外として設定されていて、多くの国・地域が対象になっています。
たとえば、開発途上国の製品の関税を低くする「特恵関税」。
そして、「経済連携協定(EPA)に基づく税率」。TPPなどのEPAやFTAを結んだ相手国の製品は、EPA・FTAで取り決めた関税率の適用を受けることができます。
日本の関税率はこちら→実行関税率表

コスト計算では関税を忘れずに

関税は海外から物品を持ち込むときに掛かる税金です。
ビジネス・個人輸入を問わず、輸入するときには忘れてはならないコストになります。
日本の関税率は多くの品目が数%と低い水準ですが、輸入コストを計算する際には、忘れずに確認しましょう。

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