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為替予約とは?貿易での使い方を為替レートからわかりやすく解説

為替予約とは何か?

為替予約とは、外国の通貨と日本円などを両替するときに、将来の為替レートを約束することです。
そういわれても為替レートになじみがないと分かりにくいですね。
貿易や外貨預金の為替予約について、為替レートからわかりやすく解説します。
為替予約とはどんなことをするのか、貿易で為替予約をした方がいい理由は?などを知って、外貨取引のリスクを減らしましょう。

為替レートとは?

為替レートとは外国の通貨と日本円などを両替するときの交換比率です。たとえば1ドル=105円など。
世界では国・地域ごとに使える通貨が違い、外国と取引をするときには通貨の両替が必要です。
銀行間の通貨をやりとりしているのが外国為替市場。為替レートは市場で決まります。

輸出、輸入の場合は?

輸入の取引でドルを支払う場合、円からドルに両替します。
100ドルのものを購入し、1ドル=106円の為替レートだと、100ドル×106=10,600円を支払います。
反対に、輸出の取引でドルを受け取る場合には、ドルから円に両替します。
100ドルのものを販売し、1ドル=104円の為替レートだと、100ドル×104=10,400円を受け取ります。

円高、円安とは?

為替レート(為替相場)はそれぞれの通貨の需要や投機的な動きで刻々と変動しています。
ニュースでよく聞く「円高」とは円の価値が高くなること、「円安」とは円が弱くなることです。
数字は逆なので注意。
【円高の例】
1ドル=106円→1ドル=100円
100ドルのものを購入した場合、10,600円→10,000円
輸入する場合は円高になるとコストが安くなります。
【円安の例】
1ドル=106円→1ドル=110円
100ドルのものを購入した場合、10,600円→11,000円
輸入する場合は円安になるとコストが高くなります。

為替予約をした方がいい理由とは?

外国通貨を使う(外貨建てといいます)取引の場合、日本円換算(円建てといいます)の金額は為替レートによって変わります。
日本では円建ての金額が重要なのに、両替するまでいくらになるか分からないということ。
為替相場は大きく動くことがあり、大きなリスクといえます。
このリスクを回避するために使うのが為替予約です。

貿易の為替予約のメリット

為替予約を使う代表的な例は貿易の場面です。
貿易では、契約が決まってから出荷、船積、着荷まで時間がかかるので、その間に為替相場が大きく変動してしまうリスクがあります。いきなり赤字になってしまうことも。
為替予約をすれば、決済日や出荷日より前に円建ての金額を確定させることができます。
会計処理上も「振当処理」という方法を使えば簡単です。取引前に為替予約すれば、予約した為替レートで換算して簿記をつけることが認められています。

為替予約の具体的な内容とは?

では為替予約とはどんなことをするのか見てみましょう。
為替予約とは具体的には、実行日(ドルなどの受け渡し日)に使う為替レートを銀行と約束することです。
予約という呼び名ですが、実際には両替する金額・期間を銀行と契約します。
英語では”Forward exchange contract”。
未来である実行日の為替レートはまったく分かりませんが、銀行は為替予約をする日のレートを元に、その通貨の実行日までの利息を計算して決めています。
初めて為替予約をするときには銀行の与信審査があるので、まず銀行への申し込みが必要です。
為替予約ができるのは代金決済に限りません。外貨預金でも提供している銀行があります。

為替相場が動いたら?

為替予約によって両替レートを固定したので、為替相場が動いても変更はありません。
為替レートが不利な方向に変わったときにはラッキー。
逆に新しく為替レートを予約したら有利になるときも、為替予約通りのレートが適用されます。
為替変動のリスクを回避するためのものなので、為替差益を追うには不向きです。

為替予約は変更できる?

為替予約はキャンセルできません。契約した通りの金額・期間で必ず実行することが必要です。
取引が変更になると、その分の為替差損益を負担することになります。
変更することになる原因で多いのが、貨物の納期遅延や数量変更です。
船の遅れを考慮して実行日には「10月渡し」のように幅を持たせることが多いのですが、設定した実行日(この場合は10月中)からずれると為替予約を取り直すことになってしまいます。
一般的には、取引が決まり出荷ごとの数量・納期が決まったら、その内容に基づいてなるべく早く為替予約を取るのがリスクを小さくする基本です。

手数料は?

一般に為替予約の手数料として別途支払う費用はありません。(取引銀行にご確認ください)
決済日までの金利は予約レートに算入済みです。
銀行の外貨両替の手数料は、為替レートの中に普段から含まれています。
為替レートとして目にするものには3種類あり、上から下へと数字が小さくなります。この差額が銀行の手数料なのです。
・TTS(Telegraphic Transfer Selling Rate):対顧客電信売相場(円を外貨に換えるときの為替レート)
・TTM(Telegraphic Transfer Middle Rate):対顧客電信相場仲値(公表値)
・TTB(Telegraphic Transfer Buying Rate):対顧客電信買相場(外貨を円に換えるときの為替レート)
円→外貨のときと、外貨→円のときで適用される為替レートが異なります。
銀行から見た用語で、「売相場」「買相場」はユーザーから見ると逆になるので注意が必要です。

オプション取引との違いは?

為替レートの取引といったら、FXや通貨オプション取引を連想する人もいるでしょう。
扱っている為替相場はもちろん同じものです。
為替予約は未来の両替に使う先物為替相場を予約するのが特徴。キャンセルできないのはFXと同じです。
これに対して通貨オプション取引は、外貨をある時点あるレートで売る権利、買う権利を取り引きします。
プレミアムという費用を払いますが、オプションの買い手は決めたレートより為替レートが有利になったら放棄できる点が特徴です。
こちらも為替変動のリスク回避目的で使うことができるので、為替予約と使い分けてもいいでしょう。

為替予約とはリスク回避の方法

為替予約とは取引に使う未来の為替レートを約束することです。
銀行と金額・期間を契約し、必ず実行することが必要になります。
外貨取引は為替レートが急に大きく動くリスクがありますが、為替予約を使えば契約時に金額を確定できるので、決済時に損益が悪化する心配がありません。
為替予約は為替変動のリスクを回避する方法なのです。

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