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個人輸入の関税の基本を解説!転売目的、自己使用目的の場合

個人輸入の関税とは?

個人輸入した荷物が届いたときに関税の支払いを求められることがあります。
あれ、この前は関税なんてなかったのに? と思った人もいるでしょう。
個人による少量の輸入の関税について見ていきましょう。

関税の世界の「個人輸入」

今回説明する「個人輸入」には実は2つの意味があります。
あなたが思い描いている個人輸入は次のどちらでしょうか?
A: 輸入ビジネスをしている個人が転売するために輸入
B: 自分で使うために外国のネットショップなどで購入して輸入
一般的な言葉ではどちらも個人輸入ですが、関税の区分で「個人輸入」というとB のことを指します。
個人的に自分で使用するという目的で輸入することです。
残念ながらそれだけで関税が免除にはなるわけではありませんが、個人輸入では関税が軽減されます。
入手方法は問いません。Amazonなどのネット通販や実店舗で購入したものでも、個人に頼んで送ってもらったものでもOK。中古品も対象です。
ギフト・贈り物も似たような扱いですが、プレゼントされたものは若干違う制度になっています。

転売目的なら通常の輸入

前項のA(転売目的)の輸入手続きは一般の輸入と同じです。
残念ながら輸入者が個人という理由で関税を軽減する制度はありません。
(少額の小口輸入の場合の免税などの制度は後述)
「個人輸入」は関税が安くなるので、転売するものを「個人輸入」として通関すると脱税になってしまいます。
インターネットで情報収集する際には紛らわしいので注意。

個人使用目的は関税が軽減される

では通常の輸入と個人的使用目的である「個人輸入」の関税はどのように違うのでしょうか?

関税の基本の計算方法
・関税額=「課税価格」×「関税率」
「課税価格」=商品代金+輸入にかかる保険料+日本までの運送料(いわゆるCIF価格)

この「課税価格」の部分に注目です。通常は上の式を使います。
個人的使用目的の場合は、「課税価格」=商品価格×0.6で計算します。送料や保険料は加えません。
こうすると関税の対象金額が60%以下と小さくなるので、個人的使用目的の場合にはその分関税が軽減されるのです。

個人輸入の関税がかからない金額は?

一度に輸入する商品が少額だと関税が免除になります。免税になる金額は以下の通り。
一般の輸入の場合:CIF金額(送料・保険料込み)が1万円以下
個人的使用目的の場合:商品価格(送料・保険料含まず)が16,666円以下
但し、革靴やニットの服などを輸入するときには例外なので、以下をチェックしてください。

参考:革製品・編物製衣類などの例外はこちら

関税がかからない金額の確認方法

念のため、自分が輸入する荷物は関税がかからない金額か、手順を追って確認してみましょう。
前の章で紹介した「課税価格」の計算式を使います。
STEP 1: 一般の式か個人的使用目的か当てはまる方を選ぶ
STEP 2: 「課税価格」を計算
税関のホームページを見ると、「課税価格の合計額が1万円以下の物品」は関税・消費税が免除になると書かれています。
→計算結果が1万円以下の場合、関税は発生しません。

「課税価格」の詳しい計算方法

実際に計算しようとすると、よく分からないところがあったのではないでしょうか?
よくある疑問点の計算方法は以下の通りです。

ドル建て価格

ドルやユーロなどの外貨建ての価格の場合、日本円に換算してから計算します。
この換算に使う為替レートは、税関が発表している公示レートです。(公示レートはこちら
クレジットカードなどで自分の支払いに適用された為替レートではありません。
輸入申告日の実勢レートでもないので注意。

割引価格

割引などがあった場合には、商品代金とはどの価格を指すのでしょうか?
小売店による値引きなら、値引き後の値段で計算してOKです。
「ポイントを使った」「自分は一部しか払ってない」などの場合は、商品が安く売られていたわけではないので、ショップの売価を使用します。

複数の数量・個口

商品の個数が複数あるときは、一度に輸入した荷物の金額を合計します。
商品の種類が別でも全部まとめて合算してください。
また、段ボール箱などの梱包が複数個口に分かれていても、インボイス(書類)が一つなら全部一つの荷物として合計します。
郵便物の重量制限などのため2個以上に分割されている場合も同様です。
関税がかからない金額の荷物を複数回入荷しようとするときには、別々の伝票・別々のインボイスでバラバラに発送してもらうのがポイントになります。
但し、まとめて出荷するより送料が余計にかかるので、メリットがあるかどうかは要確認。
また、同日に同じ発送元から複数の荷物を輸入すると、個人輸入でも商業目的の輸入と見なされることがあります。

少額の輸入なら簡易税率

「課税価格」を計算した結果、1万円を超える場合には関税が掛かります。
関税額の計算式はこちら。

関税額=「課税価格」×「関税率」

「関税率」についても、一度に輸入する金額が小さいときは、計算しやすい簡易税率を使うことができます。
「課税価格」が20万円以下の場合が対象です。
一般税率では当てはまる税率を正確に判断するのが難しいのですが、簡易税率は簡単。
品目区分は7つだけとシンプルなので、税率を確認して、商品購入前に税額を計算してみることができます。

革製品や、ニット製衣類、履物など、例外の品目もあります。

参考:簡易税率表と例外はこちら

希望すれば一般税率を適用することもできます。

20万円超は一般税率

「課税価格」が20万円超になると、関税率は一般の実行関税率表を使います。
物品の種類と原産地を正しく選ぶ必要があります。
実行関税率表の読み方はこちらの記事の「【ステップ3】「関税率」を読み解く」を参照してください。

個人輸入の関税はいつ払う? 支払い方法は?

関税は輸入するごとに、輸入手続きの際に納付します。
輸入手続きは一般的に通関業者が代行し、荷物が配達されるときには通関業者が関税を立て替え済みです。
受取人は通関した会社に、通関手数料(業者の手数料)と合わせて支払います。
その際、受け取った輸入許可通知書(輸入申告書)は関税のバウチャーとして保管しておきましょう。

DHL、FedExの場合

国際宅配便・クーリエ便(DHL、FedExなど)の場合は、運送会社が集荷・輸送し、通関・配送まで一貫して対応します。
関税は荷物の配達のときにドライバーに支払うか、送られてくる請求書で払います。

国際郵便EMSの場合

EMSは郵便局が扱うクーリエ便のようなサービスです。
荷物の代金や税金が少額の場合は、国際宅配便と同様に、関税は荷物を受け取るときに配達員に支払います。
税金が30万円を超える場合は、配達支店の窓口での支払いになります。
注意が必要なのは、「課税価格」が20万円を超える場合です。通関業者に依頼して税関手続きをする必要があるので、他の国際宅配便を利用した方が簡単です。

消費税も一緒に納付

関税を納付するときには、輸入品に掛かる日本の消費税も一緒に納付します。
支払うタイミングや方法は同じです。
「課税価格」が1万円以下で関税が免除になる場合は、消費税も免税になります。

酒税・たばこ税

ほかにも、特定の商品を輸入するときには、個別消費税と呼ばれる税金が別途掛かります。
代表例は、ウイスキーやワイン・ビールなどの酒類に掛かる酒税、タバコに掛かるたばこ税・たばこ特別税です。
これらも関税・消費税と一緒に納付します。
但し、酒税・たばこ税などは、関税・消費税が免税になる1万円以下でも免税になりません。
消費税の計算式は以下の通りです。

消費税=(送料・保険料込みの商品代金(CIF価格)+関税+個別消費税)×税率(10%)

先払い? 後払い?

ネットショップの購入画面で、関税の先払い(前払い)・後払いを選べる場合があります。
後払いというのは、既に紹介した配達時に支払う方法のことです。商品代金の決済とは別に、荷物が日本に着いてから自分で支払います。
先払いを選ぶと、購入者は関税分をショップに払い、ショップ側(発送元)が関税の納付までしてくれます。商品代金と一緒に送料や関税分が請求されるので、関連する費用の支払いが1回で済むのがメリットです。

関税の間違いに気付いたときは?

届いた輸入許可通知書(輸入申告書)を見たら、関税額が試算と随分違う・・・ということがあります。
関税額の計算の元になる物品の分類や「個人輸入」に当たるかどうかは、税関が判断します。
特に「個人輸入」は輸入の数量や頻度などから判断するので、違うことが時々あるのです。
間違いに気付いたときには税金の還付や修正を申告することができます。

転売するなら「個人輸入」と見なされないように工夫

転売用なのに輸入の際に「個人輸入」にされると、後から脱税と指摘を受けて過少申告加算税を課される可能性があります。
関税額が安くてラッキーと喜ぶのは危険です。修正申告しておきましょう。
修正する手間を避けるためには、ビジネス目的だとアピールするのが有効です。
国際宅配便伝票で「commercial use」にチェックする、宛先を屋号やショップ名にする、輸出入者符号を取得するなどの方法があります。

手荷物で持ち込めば安くなる?

最後に、宅配便のような荷物を送る方法ではなく、手荷物で持ち込めば関税が安くなるでしょうか?

個人的使用目的の場合

自分用に購入するものは、旅行のときに自分で運ぶと関税が安くなる可能性があります。
ハンドキャリーのほか、空港手続きのときに申告した別送品も対象です。
個人的使用目的の場合は、酒・タバコ・香水などに免税になる数量が設定されていて、この範囲内なら酒税などもかかりません。
一般の商品は合計金額20万円までは免税です(詳細はこちらで確認してください)。
国際宅配便などで荷物を送る場合の16,666円と比べると、はるかに免税範囲が大きくなっています。
免税範囲内の商品を自分用に買うなら、旅行のタイミングで持ち込むのがオトクです。

ビジネス目的の場合

転売などビジネス用の場合は逆に不利になります。
個人的使用の場合の免税範囲は適用なし。
酒・たばこなどの例外を除き、簡易税率は一律15%です。(詳細はリンク先の「通関案内」の11ページ参照)
多くの品目で税率が通常より高いので、荷物を送るより関税が高くなる可能性があります。
また、国際宅配便では業者が輸入申告をしてくれるのに対し、空港手続きは自分で申告する必要があります。(課税価格が30万円を超える場合には通関業者に依頼)
ビジネス用の輸入の場合は、一部の品目を除き、ハンドキャリーするメリットはありません。

個人輸入の関税を正しく理解

個人輸入の関税には、個人的使用目的の特例や、少額の場合の関税免除、簡易税率の使用など、お得で便利な制度があります。有効に使ってください。
但し、「個人輸入」という言葉は、関税の分野では「個人的使用のための輸入」を意味しています。
正しく理解して、脱税のリスクを冒さずに最も有利な輸入を目指しましょう。

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