通関手続きにかかる時間【運送方法別】時間がかかるケースとは?
通関手続きにかかる時間を解説
輸入の荷物がなかなか届かないという経験をしたことはありませんか?
天候の影響や物流の乱れなど、輸入品の到着時間に影響を与える要素はいろいろ。
中でも配達状況を追跡すると目につくのが「通関手続中」の状態です。それ以上の情報がなくイライラしてしまいます。
通関手続きは通常どれくらいの時間なのでしょうか?
通関に時間がかかるのはどんな場合?
通関手続きにかかる時間について解説します。
通関手続きとは?
通関手続きとは、輸出・輸入の際に荷物の内容や金額などを申告して、国の役所である税関から輸出・輸入の許可を受ける手続きです。
税関は、①輸出・輸入できる品目かを判断し、②関税額 を決定。
関税がかかる場合には通関手続きの中で関税を納付します。
DHLなどの国際宅配便やEMSでは多くの場合、輸入者に連絡なく通関手続きが済んで配達されます。
船便・航空便・国際宅配便の通関手続きの時間は?
船便・航空便・国際宅配便の荷物は、到着した港や空港などにある税関で通関手続きをします。
貨物が多いと時間がかかりますし、問題があると非常に長くなるので一概に言いにくいのですが、平均的な所要時間は以下の通りです。
(データは財務省「第12回輸入通関手続の所要時間調査」2018年3月実施による)
運送方法 | 平均総所要時間 | 平均通関手続き時間 |
船便 | 61.9時間(2.6日) | 2.1時間 |
航空便(国際宅配便を除く) | 29.8時間(1.2日) | 0.2時間 |
国際宅配便 | 10.4時間(0.4日) | 0.4時間 |
平均総所要時間は船や飛行機が到着してから輸入許可が出るまでの時間、平均通関手続き時間は申告から許可までの時間です。
国際宅配便(クーリエ便)はDHL・FedExなどDoor to Doorで配達するサービスのこと。
国際宅配便は輸送から通関まで自社で一貫して手掛けることでスピードを短縮しています。
全体的に通関手続きの時間は短く、それよりも荷卸しや搬入、手続きの準備などに時間がかかっていることが分かります。
国際郵便・EMSの通関手続きは?
国際郵便の場合は通関の方法が異なります。EMSも国際郵便の一種です。
空港の税関ではなく、日本郵便の国際交換局の中にある税関の外郵出張所で税関検査をします。
国際交換局は全国に6局ありますが、日本に到着する国際郵便の9割が川崎東郵便局で扱われています。
国際郵便・EMSの通関手続きの時間は?
外国から来た荷物が日本の交換局に到着してから、配達にかかるまでの日数は以下の通りです。(データは日本郵便ウェブサイトより)
・書類・国際書留など 4日
・国際小包 3日
実際にはもう少し早く配達されることが多く、EMSは1日(翌日配達)くらいです。
通関そのものは問題なければ数時間で終わります。
土日祝は止まる?
東京・大阪などの主要な税関は土日・祝日も年中無休で稼働しています。
とはいえ税関・出張所によって対応時間はバラバラで、平日の日中のみのところもあります。
土日を挟む場合の時間は?
先に紹介した財務省の調査で、土日を挟む場合の時間も集計されています。
(以下は到着から許可までの平均総所要時間)
運送方法 | 週末を含む | 週末を含まない |
海上貨物 | 105.6時間(4.4日) | 32.0時間(1.3日) |
航空貨物 | 24.6時間(1.0日) | 7.4時間(0.3日) |
通関よりも保税地区内の運搬や手続きの準備などで時間が伸びています。GW・年末年始は注意してください。
国際郵便・EMSの場合
川崎などの主な外郵出張所は土日・祝日もEMSや国際小包を通関しています。
国際書留・書類などは時間がかかるようです。
中でも書留以外の書類や国際eパケットライトは土曜・日曜・休日は配達されません(2021年10月より)。急ぐ時にはEMSです。
通関手続きに時間がかかるケース
配達状況の追跡で「通関手続中」が何回も表示されることがあります。
たとえば荷物に関税がかかると判断された場合。次で課税価格を計算します。これだけなら数時間です。
休日や混雑以外で、通関手続きが数日間止まってしまうのは主に以下の3点のケースです。
インボイスの書き方に不備がある
通関ではインボイスの内容を元に、輸入できる荷物かどうかと関税額を判断します。
インボイスの品目欄に具体的な物の名前が書かれていないと判断ができません。
たとえば記載内容が「おもちゃ」「プレゼント」や商品の品番などだと、X線などによる現物検査や問い合わせをして中身を確認することになり、時間がかかってしまいます。
具体的に「ぬいぐるみ」(Stuffed toy)などと書かれていると、関税率まで特定できて迅速に進みます。
偽ブランド品
偽ブランド品などのコピー商品は輸出・輸入禁止品です。通関で止められてしまい、税関から連絡が来ます。
このほか、覚せい剤・麻薬、児童ポルノ、拳銃、爆発物、絶滅のおそれのある野生動植物(ワシントン条約に該当するもの)などは基本的に輸入できません。
規制がある商品
輸入するのに許可・承認・届出などの行政手続きが必要な品目があります。
代表的なのは医薬品・食品など。そのほか化粧品やコンタクトレンズ、食器など、多くの品目が対象です。
輸入通関では必要な手続きが完了しているかを確認します。販売目的と判断された場合や、個人使用目的でも手続きが必要な場合には、税関から問い合わせが来ます。
販売目的の場合は、証明書類が提示できないと輸入できません。事前に要確認。
荷物が届かないときの対応方法
荷物が届かないときにはインターネットの配達状況の追跡で状況を確認してください。
問い合わせ窓口はDHLなどの運送会社か、EMSなら郵便局です。
「通関手続中」の詳しい状況については、担当している税関に電話で問い合わせることができます。
ただ土日や荷物の混雑などでも2-3日くらいはかかるので、少し待ってみましょう。
実際に輸入できない場合には税関から連絡があります。国際郵便・EMSでは「外国から到着した郵便物の税関手続のお知らせ」という葉書が来ます。
理由を確認し指示に従って手続きしてください。
通関手続きの時間は余裕を持って
輸出・輸入をするときには通関手続きがあり、混雑しているときや、手続きに不備があると時間がかかります。
通関はどの国にもある制度で、外国から輸入する場合には、たとえば韓国や中国を出国するときにも通関手続きがあります。輸出でも同様です。
いつもと同じ荷物でも予想外の時間がかかることがあるので、時間の余裕を持って輸出・輸入することをおすすめします。
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